良性発作性頭位めまいとは
耳が原因で起こるめまいの中で最も多いのは「良性発作性頭位めまい」です。「良性」とはめまい以外の症状がないこと、「発作性」とはめまいが起こるのは時々で、30秒くらいで治まる、比較的軽い症状との意味合いでしょう。
このめまい症では、寝返りを打ったとき、寝た姿勢から起き上がったとき、靴ひもを結ぶとき、洗濯物を干すときなど、頭を特定の方向に動かしたときに回転性めまいが起こる。男女比は、女性が男性の4~5倍も多いようです。年齢は50~60代以降に多く起こります。
良性発作性頭位めまい症は、内耳にある耳石器から”耳石”がはがれ、三半規管の中に入り込むことで発症する。三半規管は、リンパ液で満たされた3つの半円形の管からなり、体の回転方向を感知する働きをしています。
耳石器は3つの半規管が交わる部分(卵形囊、球形嚢)にあり、体の傾きを感知する働きをしています。
耳石器の上には極小の耳石が多数くっついています。その耳石が三半規管に入ると、頭を動かしたときに耳石が動き、内部のリンパ液に流れが生じます。頭の動きが止まった状態でも耳石が転がり続けると、三半規管のリンパ液が流れ続け、脳には「頭が動いている」というエラー情報が送られます。
一方、体の平衡感覚を担っている内耳以外の目や手足の筋肉、関節からは「頭は止まっている」という情報が送られます。この情報のズレにより脳が混乱し、めまいが起こるようです。
めまいで最も多い良性発作性頭位めまいの改善法
カルシウムの補給
中高年女性に良性発作性頭位めまい症が多いのですが、それは閉経後に女性ホルモンの分泌が低下し、骨粗しょう症が発生しやすくなるのが一因と考えられています。
耳石の主成分は骨と同じく炭酸カルシウムです。骨粗しょう症で骨がもろくなるように、耳石ももろくなって剥がれやすくなり三半規管に入ってしまうからです。
運動不足
良性発作性頭位めまい症は運動不足の影響も大きいです。頭を動かさずにいると、耳石器からはがれた耳石がかたまって、塊ができやすくなります。この塊が引き金になります。
良性発作性頭位めまい症の予防、改善にはこれらを踏まえて、骨粗しょう症の改善を図ることと運動が有効になります。
骨粗しょう症の改善
骨粗しょう症の改善にはカルシウムの摂取も重要ですが、それと同時にビタミンDの補給と骨への適度な刺激が重要です。
カルシウムの補給なのですが、牛乳はおすすめ・・・しません。
牛乳には賛否両論あるのですが、私はおすすめしていません。カルシウムの補給には海藻や小魚などをおすすめしています。
骨粗しょう症の予防にはカルシウムの補給も大事ですが、ビタミンDの補給と適度な骨への刺激も大事です。
カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、魚類やキノコ類に多く含まれますが。日光の紫外線に当たることで体内でも作られます。適度に日光浴すると骨の健康に役立ちます。
適度な骨への刺激も骨粗しょう症の予防の改善につながります。適度な運動をするといいのですが、なかなかで歩けない人や運動ができない人もいます。そんな人には「かかと叩き」や「かかと落とし」をおすすめします。
かかと叩き・・・かかとを木槌など硬めのもので叩きます。金属で叩くのはきついので、できれば木製の物を使ってください。一日に左右50回くらいずつ叩くといいですよ。
かかと落とし・・・椅子に座った状態で、足を上げてストンとかかとを落として、かかとに刺激を与えます。叩くことが出来ない人でもこれならできると思います。
寝返り体操
良性発作性頭位めまい症の改善には、前回の耳管開放症の件で書いた「寝返り体操」がよく効きます。
☆寝返り体操
どのようなめまいにもおすすめの体操です。
①ふとんやベッドの上で仰向けに寝て10秒保ちます。
②寝返りを打つように体ごと左に向けて10秒保ちます。
③再び仰向けに寝て10秒保ちます。
④寝返りを打つように体ごと右に向け10秒保ちます。
①~④を10回これを1セットとして、1日2セット(起床時と就寝時)行います。
※左に寝返りを打ったときに、めまい症状が強い場合は右から始めるといいです。
※腰が痛む人は、②と④の際、頭だけ左右に向ける形で行う。
といったやり方です。
これを続けていると、三半規管に入った耳石が元々あった耳石器の方に移動したり、塊になった耳石を砕いたりする効果があると考えられています。
耳石が三半規管に入りやすいのは就寝時とされています。仰向けに寝ていて、その頭の位置が低いと、より入り込みやすいといわれます。良性発作性頭位めまい症の人は就寝中に耳石が三半規管に移動しないように、少し枕を高くして寝るとよいですよ。