現代、宇宙に行くものそんなに難しくない時代になってきています。
近い将来には海外旅行のように気軽に宇宙旅行が楽しめる時代が
来ることでしょう。
宇宙に行くと身体にかかる負担が少なくなるから
体調がよくなり、老化も遅くなりそうですよね。
そして垂れ下がってきている肌も上がるに違いない!!
と思われますが
しかし果たしてそうなのでしょうか?
今回の話は「重力と加齢」という題ですが、
重力によって下がった肌を上げる・・・という話ではないです。
人は重力の恩恵・・・
いや重力に適応してるが故の問題を取り上げています。
ジョーン・ヴァーニカスという方が書いた書籍に
「宇宙飛行士は早く老ける?」というのがあります。
その本によると
宇宙空間という無重力状態では、地球上の加齢とともに起こるような
身体の変化が急速に進行する。しかし実際に老化するわけではなく、
地上での生活に戻れば健康は速やかに回復する。ただし、回復までに必要な
時間は宇宙空間で過ごした時間に左右される。
というものだ。
宇宙空間にいると本当に老化が早まるのかをNASA(米航空宇宙局)の
研究で、ただ仰向けに寝そべるだけでも身体にかかる重力は減ることが
分かった。
立っているときは頭から足まで下向きに引っ張られて身長の分の重力が
身体にかかるが、横たわると胸の幅と厚みの分だけになるからだそうだ。
それでベッドにずっと横たわり続け、たとえトイレに行きたくなっても
起き上がらず、できる限り無重力に近い状態を作り出し実験を続けた結果、
寝たままでいると、宇宙にいる時よりゆっくりとはいえ、宇宙飛行士に
起きたのと同じ身体の変化が起きることが分かったらしい。
宇宙で起こる身体の変化は以下のようなことがある。
動作と反応が遅くなり、行動するのに時間がかかる、
カルシウム排出の増大、
腎臓結石のリスク上昇、
心筋が薄くなる
スタミナ減少
体温調節の乱れ
筋力低下
筋繊維の縮小
筋肉のインスリンに対する感受性の低さ
バイオリズムの乱れ
骨の中のカルシウムの減少
骨量と骨密度の減少
骨折の回復が遅くなる
免疫系の低下
ヘルペスなど潜伏期にあるウイルス感染の再発
テストステロンの減少
などがある。
これらの変化は病気やケガ、高齢でベッドから
起き上がれずにいる人によく見受けられる特徴です。
生物は進化を通して重力に適応し、身体を調整し、
発達してきました。
私たちの身体は重力のもとで生きていける仕組みを
備えています。
ですので宇宙での生活で身体を動かさない生活によって
重力をあま使わない状況下で筋肉が弱まれば弱まるほど、
機能するミトコンドリアは小さくなり、数も減少します。
さてでは健康と長寿につながる重力習慣はどんなものでしょうか?
たとえば4日かんほどベッドに横たわり続けた時に引き起こされる
健康上の問題を解決するのに効果的な方法は?
①一日に最低どれだけ立っていれば効果的か?
②どのくらいのスピードでどれくらい歩けば効果的か?
実験が行われました。
実験でベッドに横たわり続けると24時間以内に起立性低血圧症
がみられ、血液量が減少する。骨量の減少は遅くとも、3、4日で
徴候が現れ、ほぼ同じ期間内に有酸素運動も最大25%減少して
してしまうようです。
実験では意外なことに血圧の調整と血液量の回復に関しては、
運動せずに立っているだけの方が効果的でした。
しかし立っている時間が長くなるほど、血管壁への刺激が小さくなる。
むしろ短い時間で頻繁に姿勢を変えた方が血圧をより効果的に
調整できることが明らかになりました。
実験では被験者に1時間あるいは2時間おきに15分間、一日あたり
計8~16回ベッドから立ち上がってもらうことにしています。
頻繁に立ち上がるたびに、筋肉が収縮し、血流、血液量、ホルモンに
変化が起こります。それは身体中のほとんどすべての神経が刺激される
からです。
ところで日常生活での消費するエネルギー全体において、立ち上がったり
、物をとったりといった非運動性熱産生は、ウォーキングやランニング、
自転車、スポーツジムでのトレーニングといった強度の高い運動よりもずっと
大きな割合を占めている。
日常的な動きこそが健康へのカギなのだ。
普段パソコン相手に座りっぱなしで、たまにスポーツジムに行ったり、激しい
運動をするよりも、一日中しょっちゅう動き回っている人の方が重力の恩恵を
受けることになります。
15分おきにデスクの前で立ち上がるとか、頭の上に両腕を上げるといった
単純な動作は、些細なことに思えるかもしれませんが、それでもいくらかは
労力は使っているものだ、とヴァーニカスは説明する。
筋肉が収縮し、骨が刺激を受けている。椅子から立ちが上がるたびに心拍数は
上昇する。身体を起こすときには姿勢を正すためにバランス感覚を使っている。
立っている間は重力の向きに逆らっている。そんなに小さな動作でも確実に
身体の為になるのだ。
座りっぱなしの生活は宇宙で過ごすことと似ているのである。小さく短い動きが
一番効果がある、とヴァーニカスは説明している。